情報共有は無駄であるという議論
情報共有の重要性について研修をしてほしいという依頼がありました。
私が提案したのは「情報共有は無駄である」というテーマで議論をする機会を設けるということでした。
正解であるか、間違いであるか、どちらでもないのか?
情報共有している人もそうでない人も関係なく、このテーマで議論するということです。
肯定派と否定派にわかれて、いわゆるディベートをするわけでもありません。
あくまで「情報共有は無駄である」というところからのアプローチです。
またこの会社では、情報共有システムが導入されています。
導入時にその目的も伝えられており、誰もがそれを使うことが前提となっています。
メンバーはひとつの営業部門の課長以下現場の方が中心の約20名。
約2.5時間の議論でしたが、参加者のなかで一応の結論はでました。
今回は、そのざっくり記録です。
タイトル通り、質問してみると、以下のような意見が出てきました。
①だいたいが、なんでもかんでも情報を流せばいいというものではないだろう。どうせ見ないし、関係ないものも多いし。
②共有されることって、わかりきってることばかりで、そんなことに時間を割くこと自体が無駄でしょう。
③仮に、この情報は皆に知ってもらいたいと思ったとしても、情報をまとめる時間なんてないよ。
④できる人と言われているの情報がまわってこないしね。後で「なんで教えてくれなかったんだよ」ということなんかしょっちゅうですしね。
⑤私には私のやり方というものがあるので、他の情報は必要ないです。それに簡単に真似できるものでもないしね。
⑥そうそう、何度か共有しようと頑張ったことがあるけど、まったく反応がないし、そもそも聞いてるのか?見てるのか?という疑問がありますよ。
⑦そもそもうちの会社は、報・連・相自体がしっかり機能してないでしょ。報・連・相は部下が上司にするもんだと言っている上司が多すぎる。俺らは駒ではないのにな。
⑧上司にしても経過報告とか連絡をしてくれないし、あっても「ちょっと待て」しか言わないし、後から検討結果だけ言われて、それから動いたら、他社に持っていかれたってことはしょっちゅうだしな。
⑨商売上で重要な情報を上司と共有しようと報告しても、「そんなことはわかってる」とか言って、その先を聞こうともしない態度を取られることばっかりでね。だったら自分で勝手に進めるよ。それでうまく行ったら自分の手柄のように言ってるし、失敗したらオレのせいにされるし・・・。もう知るか!と思うよ、ほんと。
⑩この前、上司にプロジェクト進捗の遅れを報告したんだよ。対策も含めて。するとむちゃくちゃ怒られた。報告してもしなくても怒られるもんなぁ。そりゃ遅れることが悪いんだけどさぁ・・・それでも報告しなくちゃならんのはわかるけど・・・無難な話しか報告しなくなるよ。
否定派の意見は際限なく出てくるなか、肯定派の人も「いかに無駄か?」と考えて発言していました。
中盤あたりから、だんだん文句に変化し、更には上司批判にまで至りました。
かなり鬱積しているものがあるのだなと思いましたが、ここぞとばかり出てくる文句や批判を出てくるに任せました。
一種のカタルシス状態も必要だろうと思った次第です。
時間は多少かかったものの、表情がスッキリしてきている頃合いを見て、議論に介入することにしました。
様子を見ると、多くの人がスッキリしているなかで、若干戸惑っている人もいました。
そこで、何を感じているのか、考えているのかを質問しました。
②でも、本当に無駄なのか、必要なのかは判断つかなくなってきました。(ほぼ全員静かに同意)
③ちょっと興奮しすぎたかな。かなり文句言ったもんね。共有してくれている人に対して、悪いことしちゃったような気がしてきて、反省してます。(確かにという感じで、一同静かに同意)
④なんでこんなことになっちゃったんだろうね。だいたい上司がさぁ・・・あっ、これはまた繰り返しになるんで、もういいです(自分で気づいたことは素晴らしいと周囲から拍手が起きた)
⑤どうすれば解決できるんだろうなぁ。上司の判断が遅いから勝手に進めても怒られたりするんだったら、何もしない方がいいのかというわけでもないしねぇ。(ほぼ全員、疑問の表情を浮かべて同意)
などと、困ったな、どうしたものかと戸惑いが漂い始めました。
そんなムードのなか、メンバーの一人が、口火を切りました。
「やっぱり、しっかり、ちゃんと情報共有したいよね。ほんとはそう思ってるんだよね。」(一同、激しく同意)
そこで彼は「どうすればいいか教えて下さいよ。」と私にリクエストをしてきました(ほぼ全員の矢印がこちらに向いた)。
まさに、さぁ教えろ、今すぐ教えろ、しょうもないことを教えるなよという視線です。
しかし私の返答は「知らんよ。」
当然、場がフリーズしました。
エッ?そんなぁ・・・信じられないぃぃぃい!と静かなブーイングでザワザワ感。
今度は混乱が起き始めました。
「じゃあ、質問するけど、私がこうやればいいと方法を示したとして、それをちゃんとやりますか?」
いや、それは無理かも知れない、やるといいきれる自信はない、なにしろ今までやってこなかったもんなぁ(小声がチラホラ)
混乱と戸惑いがいったりきたりの状態になりました。
そこで、
「共有が無駄であることの理由」で出てきた意見を整理したらどうかということです。
すると以下のようにまとまりました。
1.情報共有の必要性を感じない
2.共有する必要のある情報の種類やタイミングが違う
3.情報共有するのは時間的に面倒だ
4.独自ノウハウは教えたくない
5.上記1~4共通する感情的な抵抗がある。
いやぁ、すごい!見事!
皆さん、しっかり共有できました。
一同、一瞬ポカンとしていましたが、すぐに「ああ、これが共有・・・」とボソボソと囁きはじめました。
内心、整理できなかったら、私がやらねばと考えていたんですよ。ほらこの通り(とメモを見せました)
そこで、ここまでのこの時間の振り返りをし、次の質問をしました。
①情報共有するには、どうしたらいいかを教えてくれないというので、考えざるを得なかった。(一同、激しく同意)
②あれこれ話しあってる内に、わからないこともでてきてので、意見を更に詳しく聞いた。(一同、同意)
③途中で、無駄ではないという意見もでてきて、やはり共有は大事なんだなと思えてきたから。(一同、同意)
④そういえば、なんか共有することの意味とか目的とかも考えてたよね(一同、同意)
⑤さんざん文句や批判を発散させて、スッキリしたのはいいんですけど、やっぱり解決策を見出したいから・・・
最後に、一人の主任さんが、あっ!わかった!いや、わかったような気がする。と言い出しました
なんのために、情報共有するのかを忘れてしまっているんじゃないか?
目的を忘れてしまっていては、単に情報を流せばいいだろうということになってしまうと思います。
それに情報共有のルールが今の業務の進め方に合っていないのかも知れないし。
一人が担当する業務が増えていっているので、共有すべき情報が多くなってはいるけど、区別がついてないのではないか?
もしそうなら、ルールを見直せばいいと思いますし。
それに、そもそもツールの使い方を覚えていないというのもあるのじゃないかと思うんです。
「なるほど、他にもあるかも知れませんが、そうやっていけば①の必要性や②の種類とタイミングに関してはなんとかなるかも知れませんね。」
参加者一同、うんうんと頷き、早く次に進めろという顔をしていました。
「では③の時間的に面倒というのは、どうですか?」
時間的に面倒というのは、一人ひとりの生産性の問題なんで、書式を決めてしまえば多少は楽になると思います。
あっわかった。
書式もルールの一つにあったよね(周囲に同意を求める。一部の同意。一部首を傾げる)。
これもついでに見直せばいいのではないかと思います。
あっわかった。(一同、今度は何という顔)
システムも見直すことになるかも知れません。
いやぁとんでもないこと言っちゃってるなぁ、俺・・・。(一同、爆笑)
「今の意見はなかったことにしましょうか?」
はい、そうしてくだ・・・いや、このまま進めてください。
言ったのは事実だし。(一部からカッコいい、見直したの掛け声)
「じゃあ、独自ノウハウは誰にも教えたくないというのは?」
そこまでのことをやっていけば、多分わかってくれて、共有してくれると思います。(一同、それはないないと爆笑)
いや、まじで。でなかったら、どんどん浮いていくような気がする。少なくとも僕はいやだよ。(一同、確かにの連発で大爆笑)
「ということは、あなたは教えたくない派だったんだ」
あっ、そういうことではなくてですね(汗)、、、いや、ちょっとはありました。はい。すみません(一同、爆笑)ちゃんと共有するようにします。
ここでずっとムスっとしていた別の主任さんがいい一言いいました。
「しゃあねぇなぁ、お前が共有するっていうんだったら、俺もちゃんと共有するようにするよ、」(一同、ビックリ拍手)
誰もが期待していた一言だったのでしょう。
約2.5時間のなかで自分たちで結論を出すことは至難です。
ともすれば、すぐに解決策=どうすればいいのかの方法論に走ることになります。
ただこの議論の時間では、「情報共有は無駄ではない」と全員が確信した時間でした。
その後、この時のメンバーは、率先して情報共有を進めていったことは言うまでもありません。
そして社内に見直しの提案をし、情報共有の目的の再確認とルール見直し、ツールとしてのシステムの使い方の再訓練が行われることが決定しました。
●<2020年1月29日追記>●
この議論の時間を持ったのは、2010年のことです。
その後3年程、このクライアントとは付かず離れずの関係で、年に数回、他の部門に関わっていました。
先日、あの時「少なくとも僕はいやだよ」といっていた主任さんからメールが来ました。
情報システム部の部長になっていました。異例の抜擢です。
以下、その抜粋。
私が提案したのは「情報共有は無駄である」というテーマで議論をする機会を設けるということでした。
正解であるか、間違いであるか、どちらでもないのか?
情報共有している人もそうでない人も関係なく、このテーマで議論するということです。
肯定派と否定派にわかれて、いわゆるディベートをするわけでもありません。
あくまで「情報共有は無駄である」というところからのアプローチです。
またこの会社では、情報共有システムが導入されています。
導入時にその目的も伝えられており、誰もがそれを使うことが前提となっています。
メンバーはひとつの営業部門の課長以下現場の方が中心の約20名。
約2.5時間の議論でしたが、参加者のなかで一応の結論はでました。
今回は、そのざっくり記録です。
情報共有は無駄であることの理由。
研修タイトルは「情報共有は無駄であることを議論する」でした。タイトル通り、質問してみると、以下のような意見が出てきました。
①だいたいが、なんでもかんでも情報を流せばいいというものではないだろう。どうせ見ないし、関係ないものも多いし。
②共有されることって、わかりきってることばかりで、そんなことに時間を割くこと自体が無駄でしょう。
③仮に、この情報は皆に知ってもらいたいと思ったとしても、情報をまとめる時間なんてないよ。
④できる人と言われているの情報がまわってこないしね。後で「なんで教えてくれなかったんだよ」ということなんかしょっちゅうですしね。
⑤私には私のやり方というものがあるので、他の情報は必要ないです。それに簡単に真似できるものでもないしね。
⑥そうそう、何度か共有しようと頑張ったことがあるけど、まったく反応がないし、そもそも聞いてるのか?見てるのか?という疑問がありますよ。
⑦そもそもうちの会社は、報・連・相自体がしっかり機能してないでしょ。報・連・相は部下が上司にするもんだと言っている上司が多すぎる。俺らは駒ではないのにな。
⑧上司にしても経過報告とか連絡をしてくれないし、あっても「ちょっと待て」しか言わないし、後から検討結果だけ言われて、それから動いたら、他社に持っていかれたってことはしょっちゅうだしな。
⑨商売上で重要な情報を上司と共有しようと報告しても、「そんなことはわかってる」とか言って、その先を聞こうともしない態度を取られることばっかりでね。だったら自分で勝手に進めるよ。それでうまく行ったら自分の手柄のように言ってるし、失敗したらオレのせいにされるし・・・。もう知るか!と思うよ、ほんと。
⑩この前、上司にプロジェクト進捗の遅れを報告したんだよ。対策も含めて。するとむちゃくちゃ怒られた。報告してもしなくても怒られるもんなぁ。そりゃ遅れることが悪いんだけどさぁ・・・それでも報告しなくちゃならんのはわかるけど・・・無難な話しか報告しなくなるよ。
否定派の意見は際限なく出てくるなか、肯定派の人も「いかに無駄か?」と考えて発言していました。
中盤あたりから、だんだん文句に変化し、更には上司批判にまで至りました。
かなり鬱積しているものがあるのだなと思いましたが、ここぞとばかり出てくる文句や批判を出てくるに任せました。
一種のカタルシス状態も必要だろうと思った次第です。
時間は多少かかったものの、表情がスッキリしてきている頃合いを見て、議論に介入することにしました。
起き始めたとまどい
介入したといっても、ブレーキをかけたというものではなく、ストップをかけました。。様子を見ると、多くの人がスッキリしているなかで、若干戸惑っている人もいました。
そこで、何を感じているのか、考えているのかを質問しました。
今、どんな感じか?
①気分的にはスッキリしました。時々こういう時間が欲しい。(ほぼ全員爆笑しながらも同意)②でも、本当に無駄なのか、必要なのかは判断つかなくなってきました。(ほぼ全員静かに同意)
③ちょっと興奮しすぎたかな。かなり文句言ったもんね。共有してくれている人に対して、悪いことしちゃったような気がしてきて、反省してます。(確かにという感じで、一同静かに同意)
④なんでこんなことになっちゃったんだろうね。だいたい上司がさぁ・・・あっ、これはまた繰り返しになるんで、もういいです(自分で気づいたことは素晴らしいと周囲から拍手が起きた)
⑤どうすれば解決できるんだろうなぁ。上司の判断が遅いから勝手に進めても怒られたりするんだったら、何もしない方がいいのかというわけでもないしねぇ。(ほぼ全員、疑問の表情を浮かべて同意)
などと、困ったな、どうしたものかと戸惑いが漂い始めました。
そんなムードのなか、メンバーの一人が、口火を切りました。
「やっぱり、しっかり、ちゃんと情報共有したいよね。ほんとはそう思ってるんだよね。」(一同、激しく同意)
そこで彼は「どうすればいいか教えて下さいよ。」と私にリクエストをしてきました(ほぼ全員の矢印がこちらに向いた)。
まさに、さぁ教えろ、今すぐ教えろ、しょうもないことを教えるなよという視線です。
しかし私の返答は「知らんよ。」
当然、場がフリーズしました。
エッ?そんなぁ・・・信じられないぃぃぃい!と静かなブーイングでザワザワ感。
今度は混乱が起き始めました。
「じゃあ、質問するけど、私がこうやればいいと方法を示したとして、それをちゃんとやりますか?」
いや、それは無理かも知れない、やるといいきれる自信はない、なにしろ今までやってこなかったもんなぁ(小声がチラホラ)
混乱と戸惑いがいったりきたりの状態になりました。
そこで、
いったん整理してみたらどうか
と提案しました。「共有が無駄であることの理由」で出てきた意見を整理したらどうかということです。
すると以下のようにまとまりました。
1.情報共有の必要性を感じない
2.共有する必要のある情報の種類やタイミングが違う
3.情報共有するのは時間的に面倒だ
4.独自ノウハウは教えたくない
5.上記1~4共通する感情的な抵抗がある。
いやぁ、すごい!見事!
皆さん、しっかり共有できました。
一同、一瞬ポカンとしていましたが、すぐに「ああ、これが共有・・・」とボソボソと囁きはじめました。
内心、整理できなかったら、私がやらねばと考えていたんですよ。ほらこの通り(とメモを見せました)
そこで、ここまでのこの時間の振り返りをし、次の質問をしました。
なぜ、見事に整理し、共有できたのか?
「なぜですか?なぜ見事に整理できたのでしょうか?」
①情報共有するには、どうしたらいいかを教えてくれないというので、考えざるを得なかった。(一同、激しく同意)
②あれこれ話しあってる内に、わからないこともでてきてので、意見を更に詳しく聞いた。(一同、同意)
③途中で、無駄ではないという意見もでてきて、やはり共有は大事なんだなと思えてきたから。(一同、同意)
④そういえば、なんか共有することの意味とか目的とかも考えてたよね(一同、同意)
⑤さんざん文句や批判を発散させて、スッキリしたのはいいんですけど、やっぱり解決策を見出したいから・・・
最後に、一人の主任さんが、あっ!わかった!いや、わかったような気がする。と言い出しました
「何がわかったような気がするの?」
整理したものを一つ一つ見ていくと解決の方向は見えるような気がするんです。なんのために、情報共有するのかを忘れてしまっているんじゃないか?
目的を忘れてしまっていては、単に情報を流せばいいだろうということになってしまうと思います。
それに情報共有のルールが今の業務の進め方に合っていないのかも知れないし。
一人が担当する業務が増えていっているので、共有すべき情報が多くなってはいるけど、区別がついてないのではないか?
もしそうなら、ルールを見直せばいいと思いますし。
それに、そもそもツールの使い方を覚えていないというのもあるのじゃないかと思うんです。
「なるほど、他にもあるかも知れませんが、そうやっていけば①の必要性や②の種類とタイミングに関してはなんとかなるかも知れませんね。」
参加者一同、うんうんと頷き、早く次に進めろという顔をしていました。
「では③の時間的に面倒というのは、どうですか?」
時間的に面倒というのは、一人ひとりの生産性の問題なんで、書式を決めてしまえば多少は楽になると思います。
あっわかった。
書式もルールの一つにあったよね(周囲に同意を求める。一部の同意。一部首を傾げる)。
これもついでに見直せばいいのではないかと思います。
あっわかった。(一同、今度は何という顔)
システムも見直すことになるかも知れません。
いやぁとんでもないこと言っちゃってるなぁ、俺・・・。(一同、爆笑)
「今の意見はなかったことにしましょうか?」
はい、そうしてくだ・・・いや、このまま進めてください。
言ったのは事実だし。(一部からカッコいい、見直したの掛け声)
「じゃあ、独自ノウハウは誰にも教えたくないというのは?」
そこまでのことをやっていけば、多分わかってくれて、共有してくれると思います。(一同、それはないないと爆笑)
いや、まじで。でなかったら、どんどん浮いていくような気がする。少なくとも僕はいやだよ。(一同、確かにの連発で大爆笑)
「ということは、あなたは教えたくない派だったんだ」
あっ、そういうことではなくてですね(汗)、、、いや、ちょっとはありました。はい。すみません(一同、爆笑)ちゃんと共有するようにします。
ここでずっとムスっとしていた別の主任さんがいい一言いいました。
「しゃあねぇなぁ、お前が共有するっていうんだったら、俺もちゃんと共有するようにするよ、」(一同、ビックリ拍手)
誰もが期待していた一言だったのでしょう。
約2.5時間のなかで自分たちで結論を出すことは至難です。
ともすれば、すぐに解決策=どうすればいいのかの方法論に走ることになります。
ただこの議論の時間では、「情報共有は無駄ではない」と全員が確信した時間でした。
その後、この時のメンバーは、率先して情報共有を進めていったことは言うまでもありません。
そして社内に見直しの提案をし、情報共有の目的の再確認とルール見直し、ツールとしてのシステムの使い方の再訓練が行われることが決定しました。
●<2020年1月29日追記>●
この議論の時間を持ったのは、2010年のことです。
その後3年程、このクライアントとは付かず離れずの関係で、年に数回、他の部門に関わっていました。
先日、あの時「少なくとも僕はいやだよ」といっていた主任さんからメールが来ました。
情報システム部の部長になっていました。異例の抜擢です。
以下、その抜粋。
「・・・・・あの頃使っていた情報共有システムは、ご存知の通り、S社のものに変更し、情報共有はかなり進みました。縦割り文化も薄れていきました。部門間連携は昔に比べてかなりスムーズに進み、判断が適切なものになっていきました。もちろん全てが完璧な判断ではありませんが。組織としての対応スピードも上がっていると実感しています。しかしながら、これからはもっとスピードと精度を上げていかねばと考えています。弊社の更なるスピードアップのポイントは何かを見つけようとしているところです。やはりAIですかね・・・『知らんがな』と返ってきそうですね(笑)・・・・・・」昨日、情報共有の重要性について、別のクライアントで何年ぶりかで珍しくレクチャーしました。その内容は、ほぼこのこのページに書いていることです。もちろんそれ以外の話もありました。それも書くと倍以上に長くなるので、またいずれ。どこかで、情報共有の話がでてきた時に書きます。