北極にいてもバナナを見つけてくる人の採用に必要なこと

【突き抜けている人を探せ】

毎年春になってくると、多くの企業は新卒採用に向けて、会社説明会などを始める。
この時期、経営者や幹部からよく聞くのが、「突き抜けている人材」や「新しい風を吹き込むような人材」というイメージ。
例えて言うなら「北極にいてもバナナを見つけてくるような人」が欲しいということ。
新たな発想で物事を進めていけるような人材ということだ。
特に営業系やマーケティング系への配属となると、競合と戦うことより、独自の視点で新たな市場を築くことの方が、時として重要になることも多いからだ。

一方で、こういったある種突き抜けた人というのは、今の時代では、そもそも就活自体を敬遠する。
自分のチカラをある程度は自覚しているし、就活自体に興味がなく、自分で起業していくことに重きを置いている。
本当に突き抜けているような人材は、なかなか網には引っかかってこないだろう。

しかし同時に企業はこう考える。
「そんな人でも、さまざまな事情を抱え、就活をしている人もいなくはないはず。そういった人を採用できればいいのだ。」
そこで、「今の会社にはいない突き抜けている人材が欲しい」と採用活動を躍起になって取り組む。
そしてそういう人を採用できたとしよう。

【突き抜けた人が辞めていくあるパターン】

問題はここから発生する。
「北極にいてもバナナを見つけてくるような人」を採用したのに、
「北極にいてもバナナを見つけるどころか辞めてしまった」ということになるのだ。
これにはある種のパターンがある。

どういうことか?
突き抜けているチカラを持つ人は、自分のチカラをある程度知っているし、やりたいことも明確だ。
辞めていくのは、単純な理由の場合が多い。
「自分のチカラを発揮できる環境がない。」というこの一言だ。
もともと就活しない人材は、最初から企業が持つ環境に期待していないから就活をしないのだ。

【何が必要なのか?】

企業が求める人材像を明確にすることはいいことだし、必要だ。
その人材にこだわり求め続けていくことも企業を発展させることになる。

そして同時に「その人材がチカラを発揮できる環境が我が社にあるのか?」と問い続けることも必要だろう。
給与や福利厚生面といった、物理的な要因だけが環境ではない。
社内のコミュニケーションをよくしていけば良いということでもない。
これらは単に環境の1要素にすぎない。

【実は身近にいる「突き抜けた人達」】

面白く思うのは、この環境づくりは、何も新卒者に効果が出るということではないということ。
一人ひとりのチカラを発揮できる環境づくりにこだわり続けた企業には、
それまで埋もれていた既存の社員の能力が格段に上がっていくのを私は何度も見てきた。

人材像とその人材のチカラが発揮できる環境を再度見直してみる良い機会だと思う。



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