協力意識の自覚

このところの新型コロナウィルスに関する連日のニュース。
やれマスク不足、やれアルコール消毒液不足と騒動になっている。
「備えあれば患いなし」というのは確かなことだが、報道される内容の事実部分は事実として、それは氷山の一角。
この「氷山の下層」をどう捉えているかで、解釈の仕方も変わるだろう。
最近の騒ぎについてコミュニケーションの観点から考えた。

コミュニケーションの観点から考える

垂れ流される情報を聞き分ける

多くのコメンテータの意見は、氷山の下層を想像し、これに事実を組合せて、仮説を述べ、ああした方がいい、こうした方がいい、と発言しているが、これらの多くは「憶測」レベルからの対策。

感染症の専門家は、さすがに、「これは憶測ですが・・・」と前置きをしているが、受け取る側は専門家が言っていることなので、「事実の意見」として受け取る。
そしてこの「事実の意見」は憶測なのに、さらにコメンテータが憶測を被せる。
もはや「考察」ではなく、「恐察」っぽい「脅し」になっている。

仮説というものは、あくまで事実と事実の組合せから導き出されるもの。
そこに憶測が入る余地はない。

これらのコメンテータをとやかく言うつもりはない。
せめて、何を話しているのか?事実か?仮説か?憶測か?当てずっぽうか?の聞き分けられる耳を持ちたいものだと常に思う(私自身も含めて)。

日常レベルでできること

新型コロナウィルスに対して、日常レベルでできることに何があるのか?
・手洗い・うがい・マスク着用・アルコール消毒
あとは、これらを互いに「協力する」ことぐらいだろう。

マスクを多く持っている人は「持ってない人に提供せよ」ということではない。
また「協力しましょう」というものでもない。
ただ自身のなかに協力する意識があるかないかだけは自覚しておくということ。
いざという時に、その人の本質が露わになるということだ。
協力意識の自覚
というような話をクライアントに伝えてきた日の帰り、電車の中で、ちょっとした騒ぎに出くわした。

電車中の出来事

<以下事実のみ>
①京浜東北線でおっさんがくしゃみを連発していた
②若いマスクをしたにいちゃんが「マスクぐらいしろよ!」と怒鳴った。
③しばし口論となった。
④次の駅に着いた
⑤おっさんは降りた。
⑥新たな乗客が乗ってきた
⑦若いにいちゃんの周りで小さな拍手が起きた

<以下、思ったこと>
①マスクしてなかったオッサンが悪いのか?(疑問)
➽ハンカチを持ってなかったのか?(仮説)
➽たまたまマスクを忘れたのか?(仮説)・・・云々
  
②にいちゃんに関しては、言い方を考えなかったのか?(疑問)
➽満員電車で苛ついていたのか?(仮説)
➽それとは関係ないことでいらついていたのか?(仮説)
 
③おっさんが降りた駅は、下車予定の駅だったんだろうか?(疑問)
➽車内が「そのにいちゃんの言う通りだ」という雰囲気になったので、おっさん自身、いたたまれなくなったのか?(仮説、若干憶測)
➽なので「そそくさ」と降りたのか?(憶測)

同調圧力と協力意識   

以上のように疑問に思えたことのみから考えた結果、
あの小さな拍手は、「同調圧力」の一つだろうと思えてきた。
「皆がそうしているから」という圧力。
もちろんそこには、無言の「同調圧力」もあっただろう。
それで、おっさんは「自らを排除」することにしたのか?
自ら排除とうのは、憶測。
もしそうなら、それはそれで気の毒だし、恐ろしさを感じた。
   
マスクをしていなかったおっさんが悪いというのは簡単だ。
もちろんこれを見ながら、何もせず傍観者を決め込んでいた私も、同調圧力の加担者かも知れない。

新型コロナウィルスに限らず、この季節はインフルエンザにも注意したい時期。
もしおっさんに「伝染さない」「伝染されない」という協力意識の自覚があれば、マスクをしていたのではなかったか?
もしにいちゃんに協力意識の自覚があれば、怒鳴りつける以外の言い方があっただろうと思う。

協力意識というのは、社会生活上のマナーの源泉に通じるものでもあると思える。
また職場や仕事においても、同じだ。
自分が同調圧力をかける側になっていないか?
協力意識はあるのかないのか?
その自覚により状況に変化は生まれると考える。

それで、さらに、2011年に書いた投稿を思い出した。
「正論で協力は得られない」
やはり協力は引き出すものだと思う。

#visiondriven #協力意識 #同調圧力 #コロナウィルス

そして、日本におけるSNSにのパイオニアといえる存在の熊坂仁美さんが、更に具体的に書いていらしゃいます。


ちなみに、友人の危機管理コンサルタント:秋月雅史氏が「適度に怖がる」をコンセプトに「感染症対策のコラム」の連載を始めた。一読をお勧めしておきます。

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